2013年7月19日金曜日

科学の話題:CiPS細胞

休憩がてらnature.comでサーフィンしていたら、News & Commentのところで

"Stem cells reprogrammed using chemicals alone"
(化合物だけで初期化された幹細胞)
David Cyranoski 著

という記事が目に入りました。(記事はコチラ。一般公開されています。)Newsだから専門的じゃないし、せっかく目についたので読んでみることに。 ...全然単語がわかりません。そもそも題名が分かりませんでした。

stem cells 幹細胞... 知らん。
reprogram 初期化... 知らん。

興味というのはすごい原動力になるもので、知らないことだらけでも、読んだろという気になります。本文には他の研究者たちの意見や、開発者たちの苦労なども書かれているのですが、それらには触れずに大雑把にまとめておきたいと思います。

何のお話?

研究者たちが、成熟組織1)を初期化2)(リプログラム)する新規な手法を開発。成熟組織が初期化されると、胚性幹細胞3)と同じくらい多用途な細胞になる。


新手法のポイント:CiPS細胞

iPS細胞4)を外部遺伝子の付加を必要とせず、化合物(7種類)だけを利用して作り出せるようになったこと。このようにしてできるiPS細胞を「CiPS細胞(Chemically iPS)」と研究者らは呼んでいる(新しい用語ではなく、以前からある呼び名らしい)。外部遺伝子の付加は、危険度の高い突然変異や癌発症のリスクを高める。これまではどうしても、少なくともひとつ(「Oct4」という遺伝子)そのような外部遺伝子が必要だった。この研究グループはその状況を打破した。


ヒトへの応用は?

現状では不可能。マウスのみ。開発者の見解は、マウスに対しては7種類の化合物でCiPS細胞の生成に成功したが、ヒトに対してはさらにいくつか化合物を加える必要があるかもしれないとのこと。ヒトの細胞への適用に向けて、着々と進展は図られているらしい。


用語解説

1) 成熟組織
そのうち調べます

2) 初期化(リプログラミング)
そのうち調べます

3) 胚性幹細胞(ES細胞
そのうち調べます

4) iPS細胞
そのうち調べます

何のことやらさっぱりわかりません。

この記事はNature誌のNews & Commentですが、原著論文はScience誌のReportです。オンライン掲載が昨日7月18日(今日は7月19日)で、新しすぎるせいなのか(ホントかな?)、大学でまだ閲覧できませんでした。とりあえず原著論文のタイトルを載せておきます。雑誌名のところにリンクを貼っておきます。(Science誌の購読をしていない一般の人は、アブストラクトだけ読むことができます。)

"Pluripotent Stem Cells Induced from Mouse Somatic Cells by Small-Molecule Compounds"
P. Hou et al.
Science DOI: 10.1126/science.1239278

アブストラクトを訳してみました:

多能性幹細胞は体細胞から誘導でき、際限なく細胞資源を供給し、病気の研究や再生医療における使用への可能性を秘めている。しかしながら、初期化の際に用いられる核移植といった遺伝子操作や技術面で挑戦的な戦略は臨床応用に制約を課してしまう。我々は7種類の低分子化合物を組み合わせることで、マウスの体細胞から多能性幹細胞を0.2%にのぼる頻度で作り出せることをここで示す。ケミカル人工多能性幹細胞(CiPSCs)は、遺伝子発現プロファイルやエピジェネティック的地位、そして分化の可能性と生殖細胞系伝達に関して、胚性幹細胞(ESCs)と非常に似通っている。低分子化合物を使うことで、外的な「マスター遺伝子」は細胞の運命の初期化において不可欠なものではなくなるのだ。このケミカル初期化戦略は、臨床応用に対し機能的で望ましい細胞型の発生に利用できる可能性をもつ。




そもそも専門用語を知らないものだから、日本語が不自然になってしまいます。「エピジェネティック的地位」とか、絶対間違っているでしょうね。何のことか全然わかりません。Natureのアブストラクトの和訳やってる人たちって、改めてすごいと思います。

さてこの論文は、いったい玉か石のどちらであるか?ScienceであろうとNatureであろうと油断はできません。玉であることに期待します。読んでないんですけどね。